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建物明け渡し請求コラム

サブリース契約で発生する問題とは

【相談】不動産投資に興味を持って情報収集していたところ,金融機関からの借入でアパートを建てサブリースする投資手法を不動産業者から勧められました。不動産業者は,「家賃保証」,「空室保証」,「30年一括借り上げ」などと謳っていますが,このような契約には問題はないのでしょうか。

 

【回答】サブリース契約には深刻なリスクが伴いますので,不動産業者(サブリース業者)から重要事項の説明をきちんと受けるとともに,必要に応じて専門家の助言も受けながら,契約内容を十分に理解したうえで契約する必要があります。

 

サブリースとは,不動産業者がアパートなどの賃貸住宅をオーナーから一括して借り上げ,転貸する契約のことをいいます。オーナーにとって,まとまった賃料収入が見込めることや,管理の手間がかからないことなどのメリットがある一方で,賃料減額などのトラブルが発生しています。

多くのサブリース契約では,定期的に賃料を見直すことになっています。また,契約書上は家賃の引き下げを行わないかのように記載されている場合であっても,近隣の家賃相場の下落により,賃料が減額される可能性があります。これは,裁判所が,サブリースも建物賃貸借契約であることを理由に借地借家法第32条第1項が定める賃料減額請求権をサブリース事業者にも認めていることによるものです(最高裁平成15年10月21日判決)。このように,賃料減額が認められると,借入の返済に行き詰るというトラブルが起こり得ます。

また,「空室保証」と謳われていても,保証する賃料支払の免責期間が設けられている場合があります。つまり,サブリース契約の開始時や賃借人の退去時から一定期間,サブリース業者が賃料を支払わなくてよい期間が設けられていることがあります。入居者を募集するための期間として定められているのが一般的ですが,この期間が長すぎると,その間は賃料が一切入ってきませんので注意が必要です。

さらに,「30年一括借り上げ」と謳われていても,契約書にサブリース業者の方から解約することができる旨の規定があるのであれば,契約期間中であっても解約される可能性があります。たとえば,定期的な賃料の見直しの際に,賃料減額を求めるサブリース業者と金額交渉がまとまらず事業者からサブリース契約が解約されてしまうと,賃貸経営の管理をオーナーが直接行ったり,新たなサブリース業者を探さなければならなくなるリスクがあります。

加えて,賃貸住宅を使用するために必要となる老朽化等による建物の修繕費用は通常オーナーの負担となりますし,賃貸住宅の固定資産税は所有者であるオーナーの負担となるため,これらの負担も想定して返済計画等に問題がないか検討する必要があります。

この他,サブリース業者の経営不振により賃料の支払いが滞るケースや,サブリース業者が倒産してしまい,オーナーが直接賃貸物件の管理を行わざるを得なくなるケースなどもあります。

ですから,以上のようなリスクを踏まえて,サブリース業者から詳細な説明を受けるとともに,契約書の内容を詳細に確認する必要があります。

サブリース業者が信頼できる事業者であるかを検討するに際して,賃貸住宅管理業者登録制度という国土交通省が実施する任意の登録制度に登録されているかどうかを確認することが判断材料のひとつになり得ます。この登録制度では,①重要事項説明の実施と書面の交付,②賃料の適切な管理,③管理状況の定期的な報告,④規定違反に対する国土交通省による指導,勧告,登録抹消といったルールが定められていますから,事業者の信頼性を判断する一材料になり得ます。サブリース業者が登録制度に登録しているかどうかは国土交通省のホームページで確認ができますから,サブリース契約をする場合の判断材料にしてください。

また,契約書については,国土交通省が,サブリース事業をめぐる当事者間のトラブルを未然に防止するために標準契約書(サブリース住宅原賃貸借標準契約書)を作成していますので(http://www.mlit.go.jp/common/001230367.pdf),提示された契約書と,標準契約書との違いを比較検討することも,リスクを回避する方法の一つになります。

さらに,近時,融資審査を通すために,不動産業者が自己資金のないオーナーの預金通帳の残高を改ざんするなどして,不正行為を行っていた事案がありました。サブリース物件を取得するために金融機関から融資を受ける際には,融資を受ける金額や融資の内容の詳細も,しっかりと確認してください。

サブリース業者や金融機関の説明に疑問がある場合には,国土交通省などの相談窓口や,弁護士にご相談ください。

 

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