東京・福岡を中心に全国対応。弁護士による建物明渡・家賃回収の不動産トラブル相談

建物明け渡し請求コラム

不法占拠者への対応

1 不法占拠とは

不法占拠とは,賃借権や地上権といった不動産を占有する権原がないにもかかわらず,その不動産に居座ることをいいます。例えば,A所有の建物について,AB間で賃貸借契約が締結されていたところ,賃借人Bが勝手に第三者Cにその建物を転貸し,AB間の賃貸借契約が解除されたにもかかわらず,第三者Cがその建物に居座る場合が考えられます。仮に賃借人Bが賃貸借契約解除後も建物に居座っていたのであれば,AはBに対し賃貸借契約終了に基づいてその建物の明け渡しを請求することができます。しかし,Aは第三者Cとの間で賃貸借契約を締結しているわけではないので,契約に基づく明渡請求はできません。この場合,所有権に基づき建物の明渡請求をしていくことになります。

 

2 任意交渉

建物の明け渡しを求める方法としては,任意の交渉と訴訟等の法的手続がありますが,訴訟等の法的手続には相応の時間と費用が掛かります。任意交渉であれば早期に解決する可能性もありますので,不法占拠者が任意交渉では明け渡しに応じないことが明らかな場合を除き,まずは任意交渉によって明け渡しを求めていくことが適切です。

 

任意交渉によって不法占拠者と明け渡しの合意ができた場合には,合意書を作成することになります。合意書には,いつまでに建物を明け渡すのかの期限を明確に記載するとともに,その期限までに建物を明け渡さなかった場合には遅延損害金を支払うというペナルティを定めるとよいでしょう。

 

また,建物の明け渡しがされても建物の中に動産が残されたまま放置されるということがあるため,建物明け渡し後の残置物について建物所有者が自由に処分できることを定めておくことも有効です。

 

ここで,注意しなければならないのは,不法占拠者と建物明け渡しの合意書を作成したにもかかわらず不法占拠者が翻意して建物を明け渡さない場合,当事者間で作成しただけの合意書では強制執行ができないということです。この場合,改めて訴訟を提起し,請求を認める判決を得れば強制執行ができますが,それでは任意交渉によって早期に解決しようとした目的が達せられません。そこで,合意時に訴え提起前の和解(即決和解)を利用することが考えられます。訴え提起前の和解は,すでに当事者間で合意が成立している場合に利用できる制度で,簡易裁判所へ和解の申立てをして裁判所がその合意を相当と認めた場合に成立し,その合意内容は判決と同一の効力を有します。つまり,改めて建物明渡請求訴訟を提起して請求を認める判決を得なくとも,訴え提起前の和解に基づいて強制執行ができるのです。

 

3 訴訟提起

任意交渉では解決しない場合,建物明渡請求訴訟を提起することになります。不法占拠者を相手に建物明渡請求訴訟を提起して,請求を認める判決を得ることができれば,その判決に基づいて強制執行をすることになります。

 

しかし,訴訟中に建物の不法占拠者が変わってしまう場合があることに注意が必要です。訴訟中に不法占拠者がまた他の第三者に建物を譲り渡すなどして,異なる者が建物を占拠するようになった場合,それを知らずにもとの不法占拠者に対する判決を得ても,そのとき占拠している者に対して強制執行をすることはできません。

 

それを防ぐために 建物明渡請求権を保全する手続として,占有移転禁止の仮処分という手続があります。訴訟に先立って裁判所から占有移転禁止の仮処分を命じてもらうことにより,訴訟中に建物の占有が不法占拠者から他の第三者に移っても,もとの不法占拠者に対する判決に基づいて強制執行ができるようになります。ただし,この仮処分を命じてもらうためには,裁判所が定めた担保金を法務局に供託することが必要となります。

 

4 おわりに

不法占拠者から早急に建物の明け渡しを受けるためにも,適切な手続を迅速に行うことのできる建物明渡請求に強い弁護士に相談し,迅速な解決を目指しましょう。

同じカテゴリーのコラム

滞納額に差異が生じた場合の立証責任

詳しく見る

「どのような行為が契約違反による解除が可能な『背信的行為』となるか」

詳しく見る

財産開示制度とその法改正について

詳しく見る

明渡義務と原状回復義務の関係

詳しく見る

賃料滞納を理由としたカギの変更は可能か(賃料滞納が発生した場合の注意点)

詳しく見る

明け渡し訴訟の手順

詳しく見る

定期借家契約の「更新」と「再契約」の違いとは

詳しく見る

強制執行を見据えた和解条項の定め方

詳しく見る

定期借家契約の有効性について

詳しく見る

「騒音に対処しろ」というクレームを受けたら

詳しく見る

物件内で入居者が死亡していた場合

詳しく見る

サブリース契約で発生する問題とは

詳しく見る

建物の老朽化に基づく明渡請求は可能か

詳しく見る

家賃滞納を原因としない建物明渡しについて

詳しく見る

即決和解について

詳しく見る

建物明渡しに関する和解条項で入れておきたい事項とは

詳しく見る

自分で明渡訴訟を行うデメリットについて

詳しく見る

家賃滞納と時効

詳しく見る

賃借人が家賃滞納のまま死亡した場合には?

詳しく見る

契約期間中の賃料変更は可能か

詳しく見る

強制執行手続きについて

詳しく見る

「家賃が滞納となった場合にすべきことは?契約解除を見据えた手段」

詳しく見る

司法書士ではなく,弁護士に依頼するメリットとは?

詳しく見る

賃借人が荷物を残して夜逃げしてしまった場合

詳しく見る

信頼関係破壊の法理とは

詳しく見る

滞納家賃の回収方法

詳しく見る

入居者が音信不通になった場合の対応

詳しく見る

建物明渡請求の流れについて

詳しく見る
初回法律相談30分5000円
立ち退き・建物の明渡しなどの不動産トラブルでお悩みの方まずはお気軽にご相談ください。
03-3505-5333 092-409-0555

土日相談可能(要予約)

営業時間 9:30~18:30(祝日除く)