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建物明け渡し請求コラム

物件内で入居者が死亡していた場合

1 はじめに

 

高齢化や自殺者の多さが社会問題となっている現代では,入居者の方が人知れず亡くなってしまうことがあります。

入居者が物件内で亡くなってしまうと,その後の手続きが大変であったり,場合によっては心理的瑕疵物件として賃料を下げざるを得なくなったりと,不動産オーナーにとっても影響が大きいと言わざるを得ません。

ただ,不幸にも入居者が死亡してしまうことは防ぎようがありません。そこで,今回は,実際に物件内で入居者が亡くなってしまった場合にどうなるかを説明していきます。

 

2 賃貸借契約の相続

 

入居者が亡くなれば,賃貸借契約もその時点で終わると思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし,民法は賃借人の死亡を賃貸借契約の終了事由として定めていません(民法616条(改正民法622条)が,借主の死亡を使用貸借契約の終了事由と定める民法599条(改正民法597条3項)を準用していないことによる。)。つまり,入居者が死亡しても賃貸借契約は存続し,賃借人たる地位は入居者の相続人に引き継がれることになります。

賃貸人としては,入居者との契約関係を清算し,残置物等も処分したうえで,一刻も早く次の入居者を探したいところでしょう(なお,相続人との賃貸借契約を存続させることもできます。)。

しかし,上記のように入居者との賃貸借契約は相続人に引き継がれてしまうため,賃貸人が賃貸借契約を終了させるためには,入居者の相続人全員と賃貸借契約解約の合意をするか,賃料不払い等の解除原因がある場合は相続人全員に対して解除の意思表示をすることになります。

物件中の残置物の所有権も相続人に引き継がれることになりますので,賃貸人が勝手に残置物を処分してしまうこともできません。

亡くなった入居者に未払賃料が残っている場合や,契約終了時の原状回復等は,賃貸借契約を引き継いだ相続人に対して請求していくことになります。

 

3 特殊な清掃費・リフォーム費用等の負担

 

入居者が孤独死した場合等,発見まで時間がかかってしまうことで遺体が腐乱してしまい,特別な清掃やリフォームが必要な場合もあります。このような特別な清掃やリフォームの費用を,相続人に負担させることはできるのでしょうか。

裁判例では判断が分かれており,裁判所の立場は明らかではありません。もっとも,自殺の場合や,病気で死亡する可能性があるにもかかわらず合理的な理由なく入院しなかった場合など,入居者に過失がある場合は,清掃費・リフォーム費用等を相続人に請求していくことができると考えられます。

また,入居者の自殺や遺体の腐乱等によって心理的瑕疵物件となってしまった場合は,その後の賃料を下げざるを得なくなることもあります。この点についても,自殺の場合等は入居者に過失があるとして,入居者の相続人に減額した賃料分の逸失利益も請求することができると考えられます。

ただし,実際には死因や死亡の経緯,発見までの期間,物件の状況等の具体的な事情によって結論が変わる可能性がありますので,これらの請求を希望する場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。

 

4 相続人がいない場合

 

入居者が身寄りのない単身者でそもそも相続人がいない場合や,相続人がいても全員が相続放棄して相続人がいない状態になってしまうこともあります。

そのようなときは,家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求し,家庭裁判所に選任された相続財産管理人に対して賃貸借契約解約の申し入れや,未払賃料等の請求をしていくことになります。相続財産管理人とは,相続人がいない場合に亡くなった方の財産を管理する人のことで,利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所から選任されます(民法952条1項)。

なお,賃貸人において入居者の相続人が分からなかったとしても,戸籍調査等によって相続人がいることが判明することもありますので,相続人がわからない場合にも弁護士に相談してみることをお勧めします。

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